「山林火災による二次拡散」で揺らぐ福島県の“安全”根拠 3

【転載の続き】
 今回の浪江町での山林火災では福島県放射線監視室がハイボリュームエアサンプラーを使って日々の浮遊じんをフィルターに吸着させ、1立方メートルあたりの放射性セシウムをミリベクレル単位で測定しているのに対し、森林計画課では筒状の容器を1か月間設置し、そこに溜まった1リットルあたりの放射性セシウムをベクレル単位で測定している。単純比較は出来ない。
 しかも、実際に測定を行ったのは火災鎮火から4カ月ほど経過した昨年8月から11月にかけて。「入札など業者選定にどうしても時間を要する」(森林計画課)。また「林野庁の調査で緊急的な対応は不要だと分かったので、このような測定になった。日々のモニタリングも必要だが長期的な視点で森を見て行く事も必要」と、森林計画課は測定方法の違いを説明する。「確かにこれは2カ所での調査結果であって、これをもって浪江町の山林火災で放射性物質が二次拡散しないと結論付けるのは難しいかもしれませんね」。昨年の火災では、避難指示区域では無い事などを理由に放射線監視室による緊急モニタリングは実施されなかった。
 なお、森林計画課に測定結果をまとめた資料の提示を求めたが「12日に記者クラブへの説明会を予定しており、その前に差し上げる事は出来ない」との理由で口頭での説明のみとなった。週明けにもホームページ( http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/36055a/shinrinhousyasei2.html )で閲覧出来るようになるという。
福島県放射線監視室は緊急モニタリングを継続しているが、ホームページ上からは「測定地点の周辺の土ぼこりや焼却灰の舞い上がりの影響も否定できません」の表現は消え、「直近2カ年の発電所周辺環境モニタリング調査結果と比べ、ほぼ同程度の測定値でした」に戻った=福島県のホームページより
【封じ込められる懸念】
 浪江町「十万山」の火災は12日間にわたって燃え続け、今月10日15時05分に鎮火した。今後も灰が強風で舞い上がる可能性がある。実際、最大瞬間風速が20メートルを超えた今月8日の測定値は一連のモニタリングで一番高い値となり、放射線監視室も「ヘリの運行にも支障を来すような西寄りの強い風が終日観測されていることなどにより、測定地点の周辺の土ぼこりや焼却灰の舞い上がりの影響も否定できません」と表現せざるを得なかった。【転載続く】