3・11甲状腺がんの戦慄シナリオ 全国で増える「甲状腺の悪性腫瘍

サンデー毎日記事要約】
サンデー毎日2月26日号
〔集中連載・フクシマカタストロフ〕/1 3・11甲状腺がんの戦慄シナリオ 全国で増える「甲状腺の悪性腫瘍」患者
ジャーナリスト 青沼陽一郎
福島県が行っている県民健康調査で、これまで、「悪性もしくは悪性の疑い」と診断されたこどもの数は、合計184人。146人が手術を受けて、1人が良性だったが残りは全員ガンだった。
14年3月末までに行われた1巡目の検査、「悪性もしくは疑い」116人、切除手術を受けたのは102人、甲状腺がん101人
2巡目検査は16年3月末に終了
「悪性もしくは疑い」と診断されたのは68人 手術を受けた44人全員ががん確定
2巡目検査を受けた27万454人中の68人、年間3977人に1人の割合で発症していることになる。
15年8月福島健康調査検討委で、手術96例中92%に「リンパ節転移」「甲状腺がん外浸潤」「遠隔転移」が認められたことが報告され、過剰診断ではないことは明らか。
福島県外でも「基金」療育費支給
放射能は県境で留まらない
昨秋「3・11甲状腺がん子ども基金」というNGOが発足
3・11以降に甲状腺がんの手術を受けた人、または甲状腺がんの疑いと診断された25以下の人で、福島以外でも岩手、宮城、山形、新潟、群馬、茨城、千葉、埼玉、東京、神奈川、静岡、山梨、長野の各都県に在住していた人を対象に、一律10万円を給付。昨年12月から開始1月に2回目が支給された。
福島県で41人が支給を受けたが県民健康調査以外で見つかった症例が4人いる。
他に、宮城1、群馬1、千葉1、埼玉2、神奈川4、東京1、長野1、新潟1人が支給を受けた。全員、もともと地域に在住しており、3・11以降に違和感や症状を訴えて、甲状腺がんと診断されている。
今後、基金の活動が周知され、申請が増える可能性がある。
厚労省データに見る「危険な兆候」
チェルノブイリ事故後、大人の甲状腺がんの増加も深刻。では、福島では?
福島県医大の数値を調べると東日本大震災前の10年度には、甲状腺がんの患者数は26人だったが、11年度52人、12年度46人、13年度66人、14年度87人と増加している。
福島以外でも
厚労省DPCデータ(特定の疾病ごとに各病院で、手術・処置を受けた患者数がわかる)
このデータをわかる範囲で集計。
2010年11154人が、11年以降、1.4〜1.5倍に増加