避難指示解除の飯舘村、おそるべき推定生涯被曝線量 住民の「帰ら

【週刊 金曜日】
2017年3月31日号
避難指示解除の飯舘村、おそるべき推定生涯被曝線量 住民の「帰らない権利」奪うな

昨年6月、日本政府は2017年3月31日に福島県飯舘村の帰還困難区域を除いて避難指示を解除する方針を明らかにした。
国際環境団体グリーンピース・ジャパンはこれを受けて飯舘村村民が帰還して事故前の暮らしを続けた場合、生涯でどのくらい被曝するのかを推定することとした。帰還するかしないかを判断するために、帰還するとどれくらい被曝するのかが重要な要素であるが、国はこの推定をしていないためだ。
【転載ここまで】
以下、記事の要約

16年11月23〜26日の間、飯舘村の北部、南部、中心部の7軒の民家周辺の放射線量を詳しく測り、加重平均を求め、じかんの経過に伴った放射線量低下を考慮し、今年3月31日から70年間の累積被曝線量を推計。
生涯にわたる累積被曝線量の計算は、ドイツの核物理学者オダ・ベッカー氏に委託。
最も被曝線量の多いケースで183ミリシーベルト(mSv)だった。なお、これには事故直後の莫大な被曝量、今後の除染による放射線量の増減、森林からの放射能による再汚染、吸入や食品からなどの内部被曝は入っていない。
表=潜在的な生涯被曝線量(70年間)調査をした飯舘村7軒のケース
調査地 空間線量(加重平均)(μSv) 8時間屋外(mSv) 12時間屋外(mSv)
安齋氏宅 0.7 92 107
家屋A 0.3 39 46
家屋B 0.8 105 122
家屋C 0.5 65 76
家屋D 1.2 157 183
家屋E 1.0 131 153
家屋F 0.8 105 122
(作成グリーンピース・ジャパン

安齋氏の自宅周辺の放射線量は加重平均で毎時0.7μSv。これは、放射線管理区域(毎時0.6μSv)以上に相当。帰還すれば毎週、胸部X線写真を受け続けるのと同程度の被曝。
またホットスポットを探す調査も行い、ある民家の軒下で毎時3.3μSvが計測された。これまで3回除染が行われている。屋内に個人線量計を設置し、365日に換算した値は5.12mSv〜10.43mSvとなった。政府による線量評価では、屋内では屋外の4割となり、屋外の平均線量から推計される数値より高い。政府の評価が妥当出ない可能性が高い。こうしたリスクに関して、住民には一切説明がない。