大間町長選 現職4選、原発推進9割得票

この国は、終わっているような気がする。
毎日新聞
<選挙>大間町長選 現職4選、原発推進9割得票 「安全稼働」課題は山積 /青森
 Jパワー(電源開発)による大間原発の建設が進む本州最北端の町、大間町。そのトップを決める15日の町長選は「原発との共存共栄」を掲げる現職・金沢満春氏(66)の4選で幕を閉じた。候補者4人のうち2人は原発反対を唱えたが、行政経験や組織力に乏しく、反対派の「受け皿」になれないまま選挙戦は終了。金沢氏と次点候補の推進派2人で9割以上を得票し、人口約5600人の町の「原発建設」への意思が示された格好だ。
 新年恒例の「初競り」では大間産のマグロに高値がつき話題となるなど、全国的な知名度もある大間町。だが漁業以外の産業には乏しいのが現実で、原発稼働に期待を寄せる地元の声は根強い。
 2008年に始まった原発の工事は東日本大震災で一時中断後、12年に再開。だが原子力規制委員会による新規制基準の適合性審査が長引き、運転開始時期は延期が繰り返され、現在の目標は24年度ごろだ。町では、08年当時の目標だった「14年運転開始」を想定した場合と比べ、15年度からの4年間で計100億円超の歳入減となった。原発立地自治体への交付金、いわゆる「原発マネー」は学校や病院の整備などに充てられてきたが、想定していた税収が入らず、施設の管理費もかさんでいる。
 こうした「原発頼み」の地域経済を象徴する事件も起きた。震災後に原発関連工事が減った町の建設業者らが15年、違法な労働者派遣に手を染め、逮捕された事件だ。震災前には約1700人いた作業員は15年末時点で400人以下に減少。事件後、地元のある建設業者は「仕事が減り、重機も手放し、受注能力も失った青森の業者が、県外への派遣で利益を得ようとしている」と打ち明けていたが、過度な原発依存がもたらす弊害も時折このように表面化するのが昨今の下北半島だ。
 大間原発は使用済み核燃料から取り出したウラン・プルトニウムによる混合酸化物(MOX)燃料を使う世界初のフルMOX商業炉として設計され、国の核燃サイクル政策の一翼を担う。余剰プルトニウムの存在が国際的な問題になりつつある今、そのプルトニウムを使う原発の注目度は増している。
 だが現在、稼働した場合に生じる使用済みMOX燃料を処理できる再処理施設はない。
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