フクシマカタストロフ 小児甲状腺がん 「患者と家族」の果てしない苦

サンデー毎日
3月19日号
作家・ジャーナリスト 青沼陽一郎
集中連載・フクシマカタストロフ最終回
小児甲状腺がん 「患者と家族」の果てしない苦悩
福島第一原発事故の影響を調べる福島県の県民健康調査で、小児甲状腺がんと診断されるケースが多発している。筆者は患者の家族を取材、がん告知を巡る医師とのやりとりなどの詳細を聞いた。連載最終回は、家族が発した切実なるメッセージを、全国に届ける。

父親が独白「息子のがん告知」
「ああ〜、“がん”ですね」
その告知は、ぶっきらぼうにはじまった。
「結論からいうと、“がん”です」
あまりに唐突な宣告に父親は思わず「え〜っ」と息を吐く。
次の瞬間、息子の顔色が真っ青になっていった。そんな顔をそれまでに見たこともなかった。他でもない、検査を受けたこの子にがんが見つかったのだ。
「結論からいえばがんですが、比較的安全ながんです。お父さんが思っているような命を脅かすがんではないですから」
福島県医大附属病院の甲状腺・内分泌外科の専門担当者は続けた。
【転載ここまで】

以下、内容の解説

混乱する親御さんに対し、医師は手術を進めるが、手術はたて込んでおり4ヶ月待ちになったこと。その後、母親が医師に説明を求めると、いつも起こられること、4ヶ月後、手術を受けるとリンパ節転移があり、切除した事が告げられた。いまでも半年に1度、病院へ通い検査を受ける。
親御さんは、子から孫への悪影響も心配しているが、心のケアは行われていない。
一巡目で116人ががんとされ、102人が手術を受けた(うち1人は良性)。二巡目では、見つからないはずだったが69人にがんが見つかり44人が手術。がんは短期間に進行している。
福島県は、患者家族に対し、分断を図り、マスコミへ話をしないよう圧力をかけ、犯人探しまで行っている。
福島県内で、小児甲状腺がんの治療医療を受けようとすれば県立医大附属病院に頼るしかない。ゆえに患者家族は、支配構造から抜け出せない。
これだけ多くの小児甲状腺がんがみつかっているのに、福島県は「放射線の影響とは、考えづらい」とし、検査縮小しようとしている、という現状がつづられていく。

むしろ国を挙げて、小児甲状腺がん多発の原因解明に向かうべきではないのか、と筆者は主張し、原発避難者の子どもたちへのいじめも、被難者へのおもいやりに欠ける大人の責任ではないか、と問題提起する。