本当にここで安全に暮らせるのか? 避難解除の町の今 4

【週刊プレイボーイ】
2017年3月27日号
ご近所からもらった干し柿から400ベクレル!!
本当にここで安全に暮らせるのか? 避難解除の町の今

《前回の続き》
ICRPや国連と違い、政府は、年間20mSv以下なら健康リスクはないとする立場だからだ。
ジジ、ババが孫に汚染食品
口にするもので汚染されているものも少なくない。食品に含まれるセシウムの基準値は100bq(以下bq)/kg、乳児用では50bq/kgと設定されている。
ところが、この基準をはるかに上回る汚染がすでに避難解除されている南相馬市で見つかっている。特にキノコや山菜などの汚染が深刻で、昨年あたりからその度合いが上がっていると地元住民は口々に言う。
「私の裏山のイノハナ(キノコ)の汚染は昨年秋が一番高く、6万bq/kgありました。これまでは木の葉や幹に生えるようなキノコの汚染が高かったのですが、今は土中から出るキノコの数字が上がっているようです」(南相馬市の島影勘氏)
島影氏の測定データを見せてもらったが、確かにタラの芽の汚染が上がっていた。15年は1472bq/kgだったのが、翌年は1938bq/kgと3割も高くなっている。ちなみに、南相馬市の測定所へ昨年10月に持ち込まれたイノハナでは、基準値の820倍に相当する8万2000bq/kgのセシウムが検出されている。
本誌が独自測定した避難解除エリアの食材の中にも高い汚染が見つかったものがある。果物ではユズが高い傾向にあり、浪江町のものからは基準値超えの237bq/kgを検出した。
他にも、地元のハンターの協力を得て野生のイノシシとキジを測定すると、肉にも内蔵にも入り込んでいることがわかった。
南相馬市浪江町に接する山間部で今年2月に捕らえたもので、イノシシは肉と心臓、脳、キジでは肉と各臓器に分けて精密測定した。その結果、キジはもも肉の71.3bq/kgを筆頭に、腸、砂肝、肝臓、心臓からセシウムを検出。イノシシはもも肉の52.1bq/kgのほか、心臓(23.7bq/kg)と脳(12bq/kg)からもセシウムが出た。
イノシシは、セシウムが多く含まれるキノコを餌として食べる秋頃が最も汚染されるといわれるが、真冬の2月でもそれなりの汚染が見られたことになる。
動物の内蔵に蓄積されるのだから、もし汚染食品を食べ続ければ、人間の臓器にセシウムがたまっても不思議はない。