「山林火災による二次拡散」で揺らぐ福島県の“安全”根拠 2

【転載の続き】
放射性物質の飛散が起きれば周辺のモニタリングポストの数値が上昇するはずだが、明瞭な変化はなかった。以上から『森林から外への飛散は確認されていない』という結論になっています」(研究員)。つまり、あくまで2つの事例に関する調査では「放射性物質の飛散は確認されなかった」のであって、これを一般論として「山林火災が起きても放射性物質は二次拡散しない」とは言っていないのだ。
 研究員は言う。「森林火災の発生状況の確認が主な目的でしたので、パンフレットに示す簡易な測定しか行っていません。これ以上の情報はありません。福島県ではこれら火災跡地での調査を開始したと伺ってます。福島県にお問い合わせいただければ、何か情報を得られるかもしれません」
 しかし、福島県が外部委託して実施した調査も、詳細なものでは無かった。
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林野庁が2016年10月に発行したパンフレット「Q&A 森林・林業放射性物質の現状と今後」。Q15で「事故後に発生した林野火災現場で空間線量率などを測定したところ、森林から外への飛散は確認されていません」と回答。山林火災による放射性物質の二次拡散は無いと言っているように見えるが実は…
【昨年の大気調査は4カ月後】
 福島県農林水産部は原発事故以降、森林での放射性物質動態調査を継続している。昨春の山林火災ではそれとは別に調査を実施したが、それとて「放射性物質で汚染された山林で火災が起きても二次拡散はしない」と結論付けるには不十分なものだった。
 農林水産部の森林計画課によると、昨春の県内2カ所での山林火災を受け8項目にわたる調査を国土防災技術株式会社に委託。例えば伊達市霊山町の場合、火災の起きた「徳が森」周辺9カ所の空間線量が、火災前の平均値0.09〜0.17μSv/hと火災後の平均値0.10〜0.18μSv/hでほとんど差が無い事、大気中の放射性セシウムが月間で不検出もしくは0.2Bq/リットル(下限値は0.1Bq/リットル)だった事などから、2カ所の山林火災による放射性物質の二次拡散は無かったと結論付けている。
【転載続く】