核燃料取り出し、準備段階で悪戦苦闘=3号機は再延期−福島第1

溶融燃料の取り出しよりも、汚染水のコントロール(凍土遮水壁は失敗)、燃料プールからの使用済み核燃料の取り出し、鉄骨が破断した高線量に汚染した排気筒の安全確保が、より現実の課題のはず。
時事ドットコム
核燃料取り出し、準備段階で悪戦苦闘=3号機は再延期−福島第1
2017年03月10日13時51分
 極めて強い放射線を放つ使用済み核燃料の取り出しは、準備段階で苦闘が続いている。東京電力福島第1原発1〜3号機の各プールには、事故から6年たっても核燃料が残されたまま。3号機は取り出し開始時期を2度延期しており、作業の難しさが浮き彫りになっている。
 3号機の原子炉建屋は6年前、水素爆発を起こして大破した。建屋5階のプールから燃料を取り出すには、がれきを撤去して新たな装置を設置する必要があるが、現場は極めて強い放射線にさらされていた。
 東電は遠隔操作による除染で放射線量をある程度下げたが十分ではなく、線量が高い所に鉄板などを設置する対策に時間がかかった。線量は下がりつつあるが、現在も毎時0.2〜8.4ミリシーベルトの厳しい環境で準備作業が行われている。
 3号機プールの燃料取り出しは当初、2015年度上半期に開始する予定だった。東電と政府は15年6月に延期を発表。18年1月に先送りしたが、今年1月には再び延期を決断せざるを得なくなり、「18年度の中頃」に変更した。
1号機と2号機の各プールの搬出開始は、さらに先の20年度が目標。1号機も原子炉建屋が大破しており、プールがある階は、がれきの撤去に向けた調査が続く。地元は放射性物質の飛散を懸念しており、防止策を施しながらの慎重な作業が求められている。
水素爆発を免れた2号機原子炉建屋は、プール周辺の様子が外から見えず、内部は放射線量が高く調査が難しい。最終的には建屋上部を解体して取り出し装置を設置する方向だが、まず内部の状況把握が必要になる。建屋の外壁に沿って足場を建設し、外から調査用の穴を開ける準備が進む。
事故当時は停止中で、比較的放射線量の低い4号機はプールの燃料搬出が終わっているが、炉心溶融を起こした1〜3号機の取り出し作業の難易度は4号機の比ではない。
全てのプールからの燃料を取り出しても、その後の行き先は決まっていない。敷地内で長期間保管される可能性が高く、溶け落ちた核燃料(デブリ)の処理を含め、さらに難しい課題が残されている。
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