福島第1原発:凍土遮水壁、全面運用へ 規制委が正式認可

前例のない凍土遮水壁が採用されたのは、東電への国費投入をやりやすくするためだったという。
凍土遮水壁は、維持・管理に年間数十億円かかる上に、作業員の被曝量も多い。
毎日新聞
福島第1原発:凍土遮水壁、全面運用へ 規制委が正式認可
2017年08月15日
 原子力規制委員会は15日、東京電力福島第1原発1〜4号機の周囲の地盤約1・5キロを凍らせる汚染水対策「凍土遮水壁」で、建屋西側に残った約7メートルの未凍結部分の凍結を正式に認可した。東電は22日に未凍結部分の凍結を開始し、早ければ今秋にも完了する。
 建設に国費約350億円が投じられた凍土壁は、昨年3月末に凍結を開始してからようやく全面運用の見通しとなった。
 第1原発では、原子炉建屋内に地下水が流入して事故で溶け落ちた核燃料などに接触し、汚染水が発生。これを食い止めるために地中に氷の壁をつくり、建屋に流入する地下水を減らして汚染水の増加を抑える。しかし凍土壁が完成すれば、建屋周囲の地下水位が大きく下がって建屋内の汚染水の水位と逆転し、汚染水が外に漏れ出す恐れが指摘されていた。
 東電は6月28日開催の廃炉作業に関する規制委の会合で、降雨が極端に少ない条件などでも、建屋周辺の井戸「サブドレン」で地下水位を制御して汚染水の漏えいを防げると説明。規制委は全面凍結をおおむね了承し、東電が変更申請した実施計画の検証を進めてきた。
 今月2日に4号機近くの井戸1カ所で汚染水の外部漏えいにつながる地下水位の低下が起きたが、規制委は「周辺の掘削工事に伴う局地的なものとみられ、凍土壁の稼働に影響は少ない」と判断、実施計画の変更を認可した。
 凍土壁は1〜4号機を取り囲むように配管を埋め、冷却材を循環させることで地中に氷の壁を築き、これまで段階的に凍結が進められてきた。(共同)
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