本当にここで安全に暮らせるのか? 避難解除の町の今

週刊プレイボーイ
2017年3月27日号
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本当にここで安全に暮らせるのか? 避難解除の町の今
福島第一原発事故で「避難区域」となっていたエリアのうち、今年4月から「帰還困難区域」を除く全域で住民が暮らせるようになる。これは、「放射線量が年間20ミリシーベルト(以下mSv)以下の地域は避難指示の解除を進める」という国の方針に従ったものだ。
しかし、その基準は原発事故後に引き上げられたもの。つまり、避難解除によって故郷に戻る住民は、他県より20倍も被曝する可能性の高い場所で暮らすことになるのだ。当然、住民からは不安の声が聞こえてくる。
「全面マスクを装着するほどの汚染度」
写真=飯舘村の伊藤さんの自宅内で放射線量を計測させてもらうと毎時0.34μSvを記録した。部屋から出なくても1年間で1mSvを超えてしまう高い値だ

写真=浪江町で毎時15μSv近い高線量を測定 農作業をする人だけでなく子供も、立ち入ってしまいそうな場所

この春より避難指示が解除されるのは、飯舘村、川俣町の山木屋地区、浪江町いずれも3月31日)、富岡町(4月1日)の4つの町村(ただし、川俣町以外は依然、「帰還困難区域」が含まれている)。
政府は避難指示解除の要件として次の3つを挙げる。
1、年間20mSv)以下の空間線量率
2、生活インフラの復旧と除染
3、住民との協議
これを基に各町村町が国からの解除提案を容認し、今回の決定となった。
 しかし、住民の間には帰還後の生活、とりわけ被曝への不安が尽きない。除染後も、今なお放射線量が高いからだ。2月6日に南相馬市で行われた浪江町の住民懇談会では、住民からこんな趣旨の意見が出た。
「町が用意した資料によると、町内に準備宿泊(帰還に向けた準備のための宿泊)した人に線量計を持たせた結果、最も被曝量が多い人では年間推計で5.87mSvとある。原発などでは女性や妊婦には厳しい制限があるのに、なぜ一般人のわれわれがこんなに被曝しなければならないのか。これでは町に帰れない」
原発内作業や除染作業などに従事する人のための安全基準を定めた「電離放射線障害防止規則」では、3ヶ月で1.3mSvを超える恐れのある区域を「管理区域」と定め、被曝を抑えるための厳しい制限を設けている。
【転載続く】