本当にここで安全に暮らせるのか? 避難解除の町の今 8

【週刊プレイボーイ】
2017年3月27日号
ご近所からもらった干し柿から400ベクレル!!
本当にここで安全に暮らせるのか? 避難解除の町の今
《前回からの続き》
水に戻して食べるものだから、kg当たりの汚染度もそれだけ水で薄まるという理屈だ。とはいえ、乾燥シイタケの戻し汁は、料理のたしとしてもよく使われる。汚染されていれば、そこに水溶性のセシウムが溶け出すことは間違いない。
また盛岡市在住の別の主婦(47歳)も地元産のものを食べることに不安を感じている。子供が小学校に入学した途端、尿からセシウムが出たからだ。「それまでは食べ物に気をつけていて、民間の測定機関で定期検査していた尿からセシウムは出ませんでした。ところが昨年、小学校の給食になったら、その直後の検査で出たのです。牛乳ではないかと考えて九州産のものを持たせるようにしたところ、その後は不検出。子供には安心できるものを食べさせたいのですが、何が汚染されているのかわからないから怖くて…」
ちなみに、岩手県は2012年3月、一関、奥州、宮古、金ヶ崎、平泉の5市に住む3歳から15歳までの132人の尿を検査したところ、最大で6bq/Lを超えるセシウムを119人から検出したと発表した。健康への影響は極めて小さいと結論づけている。
 たとえ基準値以下だとしても、放射能汚染された食品を食べ続けた場合、健康への影響はないのか?
 放射線医学総合研究所の元主任研究官、崎山比早子氏はこう指摘する。
「人がどのくらい汚染食品を取り込むとどういう症状が出るのかははっきりとはわかっていません。ただ、細胞が1μSvの放射線を浴びると、3万5000個に1個ぐらいの割合にで複雑損傷が起きるとされています。傷ついた細胞は自分で修復しようとしますが、複雑損傷は治しにくく、修復されるときエラーが起きることがある。それかがんの原因になる可能性があるといわれているのです。成人男性の場合、セシウム137を77bq取り込むと1μSvの内部被曝をするといわれている。そうしたリスクを避けるためには、やはりなるべく汚染食品は口にしないほうがいい。
CRPによると、毎日1bq摂取した場合、400日後ぐらいから体内残存量は200bq近い数値で推移し、これが10bqの摂取ならほぼ600日で1400bqに達するという。
《転載続く》