高浜町長:敷地内で乾式貯蔵も選択肢 原発使用済み核燃料

これまで、23回も運転延期になった六ヶ所再処理工場。もうじき24回目の延期になるだろう。
毎日新聞
高浜町長:敷地内で乾式貯蔵も選択肢 原発使用済み核燃料
2017年05月27日

 関西電力高浜原発が立地する福井県高浜町の野瀬豊町長が共同通信のインタビューに応じ、同原発で増え続ける使用済み核燃料の扱いについて、現在保管している原発内のプールから取り出し、専用の金属容器に入れて保管する「乾式貯蔵」を原発敷地内で進めることも選択肢との認識を示した。
 原発外への搬出が前提となっている使用済み燃料を巡り、原発の地元町長が敷地内でのさらなる保管に言及するのは異例。原発外でいったん保管する中間貯蔵施設について、関電は2020年ごろに福井県外に計画地点を決め、30年ごろに操業させるとしているが、野瀬町長は「県外が受けてくれる保証はない。ハードルは低くない」と強調した。
 高浜原発は4号機が今月17日に再稼働、3号機も6月上旬に再稼働する予定。関電によると、使用済み燃料プールは1〜4号機で既に約71%が埋まっている。4基が全て稼働すると6〜7年で満杯になる。
 野瀬町長は「(プールが)いっぱいになってから考えても遅い。バックアッププランを頭に置いておく必要がある」と述べ、現行のプール内での保管と乾式貯蔵を組み合わせた「ハイブリッド化」が現実的だとの考えを示した。乾式貯蔵が、プールのように水や電気を必要としないことから「リスクの軽減になる」とも指摘。「積極的に担いたいわけではないが、(使用済み燃料が)高浜町に残るという現実は考えないといけない」と述べた。
 町長は、使用済み燃料の問題を「目先のことだけ考えていれば時間が稼げるテーマではなくなってきた」と強調。「課題から逃げることは立地に(責任を)押し付けることだ」と述べ、中間貯蔵施設の建設に、事業者だけでなく国が本腰を入れて取り組むよう求めた。
 乾式貯蔵は原発内での保管の長期化を警戒する立地自治体への配慮から導入が進んでこなかった。福井県の西川一誠知事も関西電力高浜原発の再稼働同意の際、燃料の県外搬出を条件に挙げた。
 関電は高浜など福井の3原発からの搬出先として、2000トン規模の施設を県外に新設する考え。だが隣接する京都府が既に拒否を表明するなど場所の確保は見通せない。再稼働を進める経済産業省は、乾式貯蔵を受け入れた自治体に交付金の拡充も検討している。(共同)