【山林火災と放射性物質】やはり二次拡散あった。「ちくりん舎」のリ

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今回の調査では、放射性物質の飛散は少なくとも十万山から北に約17km離れた南相馬市原町区、西に約14kmの田村市都路や葛尾村にまで達していた事が確認出来た。実際にはさらに広範囲に及んでいると推測される」とした上で、「山林火災による放射性物質の二次拡散は空間線量率では評価出来ず、大気中粉じんに含まれる放射性物質を測らなければならない」と国や福島県の調査や情報発信を批判している。
 「山林火災をはじめとする放射能汚染実態の評価において、国や行政は空間線量一辺倒の態度を改めるべきだ」
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「ちくりん舎」のリネン吸着法調査では、十万山から約17km離れた南相馬市原町区の放射性セシウム濃度は約3倍に上昇。浪江町にある「希望の牧場」でも1.8倍に上がった=青木さんの発表資料より
【「微粒子は排泄されにくい」】
 実際、福島県が発表していたモニタリングポストの数値を見ると、十万山登山道入り口の空間線量は1.05μSv/h〜1.45μSv/hと大きく変動しなかった。そのため、この数値だけを見れば山林火災による影響は小さいように見える。しかし、一方で「大気浮遊じん(ダスト)の測定結果」は浪江町の「やすらぎ荘」で5月11日に3.64mBq/m3、大熊町の石熊公民館では5月12日に29.06mBq/m3を計測した( 福島県放射線監視室の発表 )。
 気象庁のデータによると、浪江町では5月1日から12日までほとんど雨が降らず乾燥しており、8日には20.3メートルの最大瞬間風速を記録。10日から12日にかけても最大瞬間風速が10メートルを超える状態が続いた。しかし、モニタリングポストの数値は上昇していない。そのため、福島県はホームページ上で放射性物質の二次拡散を否定する文言を使い続け、広報課に至っては、出火から4日しか経っていない5月2日の時点で「周辺環境に影響が及んでいる事実は一切ありません」と言い切ってしまっていた。
 青木さんたちは、放射性物質を吸い込む事による内部被曝の健康影響を重視。「1マイクロメートル(0.001ミリメートル)程度の細かい粒子ほど灰の奥に到達して排泄されにくい」として、空間線量だけでなく大気浮遊じんの測定も併せて慎重に影響を評価するよう求めている。「ちくりん舎」の測定は十数日間に吸着した放射性物質を1時間あたりに平均化している。
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