報道発表資料 九州・沖縄地方の地球温暖化適応策に関する報告書の公

【転載の続き】
2.九州・沖縄地方の地球温暖化影響と適応策推進に係る課題(報告書より抜粋)
a. 農業分野 九州・沖縄地方において、水稲、野菜、果樹の生育不良、収量の減少、品質の低下や、畜産における熱ストレスの問題など、既に地球温暖化の影響が表れている。このため、農業分野における適応策は、他の分野よりも検討・実施が進んでいるが、今後も短期的な影響への対応とともに、将来的な影響を考慮しつつ、適応策を推進していくことが課題である。
b.健康分野 九州・沖縄地方は気温の上昇により、熱中症のリスクが高まることが予想されている。既に、九州・沖縄の地方公共団体では、熱中症警戒情報の発信等の取組が進められているが、今後もきめ細やかな熱中症対策を進めていく必要がある。
 一方、感染症については、九州・沖縄地方では、気温や海水温の上昇などにより、コレラなどの水系感染症デング熱チクングニア熱などの蚊媒介性感染症の発生が広がることが懸念されるため、感染症についての監視が必要であり、また、ある程度感染症の流行が予測されたときの専門家の診断等の体制、ワクチン等の予防策整備が重要である。
c.防災・水資源分野 九州・沖縄地方は、台風常襲地帯であるとともに、急峻な山地と急流河川が多いため、気象災害が多い状況にある上、地球温暖化によって亜熱帯化が進みつつあることで、豪雨や台風の強大化、土砂災害の発生確率の増加や大規模化等が起きている。そのため、これらの災害への免疫力を高める必要があるが、昨今の社会状況を踏まえると、大規模な防災基盤を整備していくことには限界があるため、ハード対策とともに、人々の生命を守るためのソフト対策(例えば、防災情報の的確な発信、自主防災組織の設置などの共助の取組)を進めていく必要がある。また、福岡市における都市の浸水問題や佐賀県佐賀市における低平地の降雨による災害や高潮の問題、沖縄県における赤土流出問題など、地域の脆弱性等も考慮する必要がある。
 水資源分野では、九州地方において、近年、年降水量の変動が大きくなっており、降水パターンの変化によっては、洪水リスクが高まる地域がある一方で、渇水リスクの高まる地域があることが予想される。したがって、渇水対策や節水対策などの適応策が重要である。
【転載続く】