年間被ばく限度 半年で超えた 労働者告発 福島第1原発廃炉作業の

しんぶん赤旗
2017年7月17日(月)
2017とくほう・特報
年間被ばく限度 半年で超えた
労働者告発 福島第1原発廃炉作業の闇
 国と東京電力が過酷事故をおこした福島第1原発(1F)でいまも続く廃炉作業の実態は、どんなものか。「故郷を少しでも復興させたい」との思いを胸に、1号機の原子炉建屋内で作業にあたった複数の労働者が、放射線管理手帳や給与明細を見せながら「使い捨て労働だ。被ばくの不安がある」「命を削っている割に、安い」と本紙に告発しました。法令違反の疑いもある廃炉作業の“闇”を検証しました。(阿部活士)
 AさんもBさんも孫請け会社に雇用されながら、“ある1次下請け会社の作業員”として仕事しました。元請けは清水建設。給与は、雇用された会社から出ましたが、実際の現場指揮は清水建設でした。
 作業者の限度被ばく線量は、国の基準として、「5年間で100ミリシーベルト」「1年間で50ミリシーベルト」と決まっています。線量が被ばく限度いっぱいになった作業を告発するのは、Aさんです。
 Aさんは、昨年2月から7月半ばまでの半年間、原子炉隣の敷地に散乱するガレキを撤去する仕事と、その敷地に鉄板を敷く作業をしました。
 本紙が入手したAさんの作業計画表によれば、敷地の平均線量値は、毎時9・85ミリシーベルトです。最高値が毎時35ミリシーベルトもあります。
 防護服の上にタングステンベストと短パンを着用しましたが、「歩くだけで0・1上がり、3回警告音が鳴ったら作業を中断する」という高線量のエリアです。
 「原子炉隣には近づかないで作業しろ」といわれたといいます。
 ガレキ撤去は、“グラウンドレーキ”のようなものでガレキをかき集めて、炭をはさむトングでフレコンバッグという巨大ゴミ袋に詰める作業です。手作業は“禁止”されていましたが、トングではさめないガレキの片づけは、革手をはめた手作業を清水も認めました。
 Aさんの放射線管理手帳には、月々の被ばく線量が記載されています。
 2月 11・96 
 3月 11・82 
 4月 6・79 
 5月 8・2 
 6月 11・00
 7月 5・06
 6カ月の合計は54・83ミリシーベルト。1年間の上限を超えていました。
「高線量の仕事、短期の使い捨てだったのか」
命を削っている作業
 被ばく線量の国の基準は、「5年間で100ミリシーベルト」「1年間で50ミリシーベルト」です。